ネコはよく寝てるってよ

先の日記の後、家を出がけに野菜炒めを携えておっさんの家に行くも、不在であった。晩に帰ってきた時に部屋を見ると明かりがついている。しかし、おっさんの自転車がない。何やってんだろうか。。。


翌日、メシを持って行って事情を聞くと、「だって、帰ってきて明かりがついてないとさびしいな思うて。ネコもおるしな」。ネコは夜目が利くなどとは言わず、話を聞いてると、


「昨日、○○(大きな駅)行ってきたよ。(出会い系のが)おるいうから。うん、自転車でな。やっぱ○○は歩いてる人が違うな。みんな金もってそうやもん。ここらでそんなん見たことないよ」


「待ってても何もすることないしな。そしたら旅行のパンフレット並んでて、ワシ、イタリア行きたい言ってたやろ。ずっと読んでて、話聞くんはタダや思うて店員さんに話しかけてな。フィレンツェ行きたいとか。そしたら向こうもこれはどうですかいうて色んなの紹介してくれたな。あ〜、朋美(1000万の女)とイタリア行きたかったな〜。。。14日からの大エルミタージュ美術館展、楽しみにしてたのに、電車賃もあらへん」


で、メールを送ることもできないままやきもきしつつ、サイト側に何やら交渉のメールを送るくらいで、それも無視され、立ちつくすだけで何事もなく夜遅く帰ってきたのだという。ふと横を見ると、ネコのエサ入れが空になっていた。


「エサももうなくなった。まだおやつが置いてあるからしばらくはいけるけどな」



「今おっさんに何を言っても不毛だ。どっかでまた精神的に追い込まれる場面が来る。その時に今生活のために何ができるかを話してみては」 


−−前の日に相方から受けたアドバイスである。そうなるまで、携帯でもつながらなくなるまで放っておこうと思っていた。勿論、おっさんに貸す金は一文たりとてないが、それでもネコのエサだけはカンパすることにした。



翌日、フリスキーを買って持って行くと、「ありがとう。こんなええのやのうてよかったんよ。ありがとう。○○〜、おにいちゃんがカリカリ持ってきてくれたよ〜、おにいちゃんありがとーって」。ネコは怖がって出てこない。


やれやれ、、、コーヒーでも飲まんかと誘われたが、家に戻って仕事をすると断った。


夕方メシを作っていたら、おっさんがやってきた。おっさんの顔についてはこれまでも疲れただのやつれただの散々書いてきたが、人はどこまで消沈できるのだろうか。か細い声で何やら言っているが、何をそんなやばいことがあったのかと思って聞いていると、それは俺にとってはある意味、意外で、しかし今となっては理解も可能な事なのであった。


今後の生活について話をするのは今がチャンス、そして俺がおっさんから手を引くとすれば、それも今しかない。そう思いながらほとんど何も言わず話を聞いていた。